50周年を迎えた『男はつらいよ』
『男はつらいよ』は、1996年 寅さんこと渥美 清(あつみ きよし)が他界したことで打ち切りを余儀なくされた作品。第49作の特別編集版が公開されてからおよそ22年、寅さんはスピンオフ作品として帰ってきました。シリーズ50周年を迎えた2019年公開の最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』は、前作を踏襲した寅さんの甥っ子 満男が父に思いを馳せる回想録として展開します。
名作シリーズである寅さんの最新作を見るにあたり、せっかくだから過去何作か見ておきたいと思います。
49作品も見るのはさすがにしんどいものですが、参入障壁が低いのもこの魅力。この記事ではそんな『男はつらいよ』の魅力と、特に人気が高い3作品をピックアップ。最新作の視聴前に何本か見ておくも良し、とりあえず寅さんに会いに行ってから名作の海に飛び込むもよし。一緒に寅さんに会いにいきましょう。
『男はつらいよ』シリーズは思ってたよりすごいぞ
『男はつらいよ』は元々、1968年からワンクールで放送されていたテレビドラマでした。テレビ放送当時、あまりの人気ぶりと「寅さんがハブ酒で一攫千金を狙うも、奄美大島の地でハブに噛まれて死ぬ」という衝撃のラストが奏功し(?)、この大作群の幕が上がります。
1969年の映画化を皮切りに、夏冬1本ずつというペースで制作され、1995年まで48作品を公開1983年時点では、ひとりの主演が演じた最長記録作品としてギネスブックにも記録されました。渥美 清の没後、1997年には、シリーズ49作品目となる特別編集スピンオフ『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』が公開されました。
シリーズなのに、新参者にもやさしい寅さん
各話完結型だから、どこから見てもOK
シリーズの基本は、”フーテンの寅”こと寅さんが各地を放浪し、現地のマドンナに恋をして人情喜劇を繰り広げるというもの。大衆映画ならではの、どの作品をどこから見てもいいという親切設計です。
ドラマティックな展開は多くなくても、軽くてラフに楽しめるところが寅さんらしさなのかもしれません。
毎回100分程度と平日の空き時間にも見やすい
『男はつらいよ』は、一回あたりの上映時間が短いのもいいところ。
日本の古き良き映画には、今からすると尺の短い映画が多いもの。『男はつらいよ』シリーズもこれを踏襲し、各話1時間半くらいの短尺で楽しめます。平日も映画を見たいけど、ゴッドファーザーみたいなのは勘弁〜という人にこそおすすめなんです。
“とりあえず寅さん”ならこれ!おすすめ3作品
2014年7月公式Facebookで行われたファンアンケートのTOP3をピックアップ。その見所と注目ポイントを抜粋します。画像リンクからAmazonの作品視聴ページに飛べます。各話HDリマスターで300円くらいなので気軽に見てみてください。
第3位『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(1980年 25作目)
第2位『男はつらいよ 夕焼け小焼け』(1976年 17作目)
黄金期と言われる70年中盤期でも人気の高い作品。飲み屋で意気投合した画廊人 宇野重吉とのやりとりを推す声も多いです。寅さんも宇野も、とても真っ当な人間とは思えない雰囲気がありますが、人間味に溢れたヒューマンドラマ回として人気がある回。
第1位『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(1975年 15作目)
側から聞くとしょうもない「メロン騒動」に、江戸っ子寅さん節に愛が詰まった「寅のアリア」を初め、シリーズの名場面を数多く生み出した一本。構成は単純明快なのに、なぜだか心惹かれるストーリーの妙が光ります。見せ場の相合傘のシーンは、寅さんとリリーの睦まじさこそが見所。ファン人気1位の作品ですが、何話か見勧めたあとの方が二人の関係性をより楽しめます。
「いま、幸せかい?」
シリーズものでもない、劇的でなくてもいい。そんな映画を見たいと思った時、ちょうど寅さんの新作が公開するところでした。
「生まれてきてよかったなァって思うことが何遍かあるじゃない。そのために人間生きてんじゃないのかい。」
そういえばCMなんかも見たことあるな〜なんて思ったけど、ふと耳にするセリフが意外と脳裏に残っていたりして。運命的に機が熟した訳でもなんでもなく、この作品のサイクルと僕の興味がゆる〜く交わって、偶然寅さんデビューしたのかもしれません。(あっ、面白くなかったらコッッッテリ悪口書きますね。)
そういう軽いノリで何本か見てみて、いいタイミングで劇場に行ってみようと思います。
ps. 寅さんって恋愛ジャンルに入れといていいのかな。ヒューマンドラマって言われると、個人的にちょっと違和感あるんですよね。ここら辺は見てから考えます。