ソリッドシチュエーションスリラー映画というジャンル
密室のような限られた空間で展開される作品を「ソリッドシチュエーションスリラー」と呼びます。
元々はデスゲーム系、密室監禁系、偶発ハプニング系など、アブない系ジャンルと思われていたこの一派。最近では開けた環境だけど「誰も助けがこない」「動くとヤバい」などさまざまな解釈がされています。巧みな設定の妙と、そこで展開される人間ドラマが見どころです。
製作面では、広いセットや大人数のキャストを必要せず、低予算で製作できることが大きなメリット。景気が低迷する2000年代でも着々とタイトル数を増やしてきたジャンルです。
ワンシチュエーション映画の一種
「ワンシチュエーション映画」という定義があり、場面展開が少なく、狭いセカイで話が広がるものをこう分類します。広い意味でソリッドシチュエーションスリラーはワンシチュの派生系。前者が群像劇として成り立つ一方で、ソリッドシチュは特に密室や孤独なシチュエーション(そこから生まれる演出の妙)が楽しめる一派です。
ワンシチュが日常モノやコメディも扱うのに対し、ソリッドシチュは全編を通した緊張感・切迫感(スリラー)を特徴とします。
ニッチさゆえ面白さにバラ付きが…
アクション映画と比べると圧倒的にマニアックなこのジャンル。「よし!ソリッドシチュ観るぞ!」と思って息巻いていても、母数が少ないことから映画が好みに合わなかったり、そもそも良さを感じれないことも多いです。
僕もできるだけディグっているんですが、苦手なグロ演出や簡単脱出ゲームに当たってテン下げしてしまう日々。ニッチさゆえの当たりが少ない問題は深刻です。
いやぁ、本当にいい映画、観たいですよねぇ。
偏差値で「ソリッドシチュエーション映画」の当たりを引きたい
映画シーンを席巻した名作でも、まだ世に広まってい面白いソリッドシチュ作品でも、
せっかく観るなら当たりを引きたい。そこでここでは、映画の面白さに指標を設けてみました。
我らが映画の知恵袋filmarksより、人気指標として「レビュー数」実績指標として「星評価値」をサンプル。数=面白さにならないよう、算出した数値から偏差値を求めました。
・対象作品:56
・中央値:50
(2021/6/30時点の数値)
ぜひ面白いものから見ていただきたいので、上から順にいってみましょう。
【第1位】search/サーチ
偏差値:89.61
公開年 : 2018 上映時間 : 102 ☆評価値 : 3.9 レビュー数: 73,104
“100%すべてPC画面の映像で展開する”という画期的なソリッドシチュエーション。SNSと検索エンジンで失踪した娘を探すサスペンススリラーが、歴代作品を抑え堂々の一位を飾りました。偏差値90点というブッ壊れ得点ですが、ニッチなジャンルにおいて奇跡的な爆発力と評価を兼ね備えた名作。
【第2位】SAW
偏差値:81.63
公開年 : 2004 上映時間 : 103 ☆評価値 : 3.8 レビュー数: 62,622
謎のゲームマスター“ジグソウ”の策略で、見知らぬ二人が密室に閉じ込められてしまう監禁デスゲーム系作品。密室で二人、足の手錠にノコギリなど、衝撃的なシチュエーションで話題を呼びました(僕はこの手の描写が苦手…)。
【第3位】キャビン
偏差値:69.74
公開年 : 2011 上映時間 : 95 ☆評価値 : 3.4 レビュー数: 49,357 偏差値 : 70
山小屋で休日を過ごす若者たちが巻き込まれた密室殺人ミステリー。ただしそこには謎の組織やモンスターの群れがいて…。“定番を破壊する”というタグラインの通り、どんでん返す気満々のシチュエーションが楽しめます。
【第4位】CUBE
偏差値:68.16
公開年 : 1998 上映時間 : 91 ☆評価値 : 3.5 レビュー数: 45,273
ソリッドシチュの代表作といって差し支えない不朽の名作、キューブ。巨大な立方体空間に閉じ込められた男女6人が、無数のトラップをかい潜って脱出を試みる群像劇です。SAWほどじゃないにせよ、少しグロ注意。印象的なサイコロカットなど、地上波で多くの人のトラウマを生んだとか。
【第5位】インシテミル 7日間のデス・ゲーム
偏差値:62.0
公開年 : 2010 上映時間 : 107 ☆評価値 : 2.7 レビュー数: 45,221
米澤穂信 原作小説を基にした、サスペンス要素強めの作品。藤原竜也、綾瀬はるか、石原さとみなど豪華なキャスト陣で、爆発的な人気を呼びました。疑惑の判定を生んだのが、☆評価が下から2番目という点(最下位も邦画)。これはレビュー数の多さゆえか、数少ない邦画ゆえなのか…。
【第6位】フライトプラン
偏差値:60.06
公開年 : 2005 上映時間 : 98 ☆評価値 : 3.3 レビュー数: 33,530
飛行機の中から突然消えた娘を探す航空設計士。探せど見つからないどころか、搭乗員や乗客すべてが不審な言動をとる。「いやそもそも娘は数日前死んでるってどゆこと?」サスペンススリラーとしてはかなり硬派な設定で、もっと広まってほしい作品です。
【第7位】パニック・ルーム
偏差値:56.35
公開年 : 2002 上映時間 : 113 ☆評価値 : 3.4 レビュー数: 26,093
突如として屋敷を襲う強盗から緊急避難室”パニックルーム”へと逃げ込んだ母娘の物語。ただの押し入りとは違い、強盗にも強い目的があるようで…。悪いやつにも何か事情があるっぽくて少しだけ憎めない密室ドラマです。
【第8位】127時間
偏差値:55.1
公開年 : 2011 上映時間 : 94 ☆評価値 : 3.5 レビュー数: 23,305
単独トレイルランニング中、岩の裂け目で身動きを取れなくなってしまった登山家の、実話をもとにした作品。演出がほんとに上手い。毛色の異なる自然派ワンシチュですが、以降の名作にも通ずるドラスティックな演出が盛り沢山です。スプラッターがプライベートライアンのように衝撃的。
▼実は時代の転換期に作られた名作です。
【第9位】10 クローバーフィールド・レーン
偏差値:49.4
公開年 : 2016 上映時間 : 104 ☆評価値 : 3.3 レビュー数: 14,453
「クローバーフィールド/HAKAISYA」の続編なのに雰囲気めっちゃ違うでおなじみのテンス。前作と打って変わった地下シェルターでのせめぎ合いはまさにソリッドシチュ。ただ、持ち前の観客を突き放したオチが偏差値を引き下げる形に。SFサスペンス的な脚本の妙が効いていて、個人的にはかなりおすすめです。
AO入試枠も準備中。
個人的な好みの作品もあるので追って加筆しますね。
リストは随時更新を予定。「こんな面白いソリッドシチュあるよ!」「これは違うかもしれない…」という作品があれば、ぜひTwitterにてハッシュタグ「#週末は映画とおいしいもの」を添えて教えてください!ソリッドシチュを盛り上げていきましょう。
いやぁ、映画って本当にいいもんですよね〜。